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認知症のおばあちゃまにどう寄り添えばいいのか・・・ [気ままなヘルパー日誌]


先週の認知症のおばあちゃまはいつも以上に不穏だった。
娘さん家族との同居だが、日中は独居の利用者さん。

このおばあちゃまにどう寄り添えばいいのか・・・
   

「私は自分のことはなんでもできますからどうぞお帰りください」
と土下座までして言われる。
「2階にいる姉が何でもしてくれますから何もしなくて結構
です」
と仰ることも。お姉様は遠くに住んでおられるのだが・・・。
それをなんとか誤魔化し誤魔化し作業を始めるわけだが
こちらも胸が痛む。

言葉で説明して説得しようとしても納得していただくことはできない。
無駄に時間が過ぎ調理の時間が足りなくなるばかりか
かえっておばあちゃまのテンションを上げるばかりで
それが怪我に繋がらないとも限らない状況。

「誰に頼まれてこんなことをするの?
 私は頼んだ覚えはないです!」
「娘さんから頼まれていますので・・・」
「娘からも私は聞いたことがありません!
 あの子をひっぱたいてやりたいわ!
 主役は私なのだから、私の意志を尊重してもらいます!
 そうじゃないと私の存在感はまるでないようなもの・・・
 もう死ぬしかないわ。
 私なんて、もうどうなってもいいんです!!」

と仰って、ご自分の顔を両手でピシャピシャたたいたり
眼鏡を外して投げようとなさったり、
髪を留めてるヘアピンを外して投げてしまったり。

同じ質問の繰り返しなので、言い方を微妙に変えてみたりもするけれど
なかなかおばあちゃまの心に届く言葉が見つからない。

女手ひとつで娘さんを育ててこられたおばあちゃま。
整理整頓、お掃除が大好きで几帳面なおばあちゃま。
仰る気持ちは十分過ぎる位にわかるんだけれど・・・

神経が高ぶってるおばあちゃまにどう対応したらいいのか、
とにかく怪我だけはさせないようにと
いつもその場しのぎでなんとかしのぐしかない私である。

何もしなくていいから帰ってくれとは言っても、その5分後には
「私のご飯はどうなってるの?」
と不安そうに訴えて来られたりするわけで。
大急ぎで食事の用意をして持っていくと急にご機嫌が良くなって
今度は丁寧過ぎるくらいのお礼を言われるのだ。

そんな感じでこの日のお昼の部は終わろうとしていた。
が、台所の
片付けをし連絡ノートに記入などして
退室の挨拶をしようとおばあちゃまのお部屋まで行ったところ
おばあちゃまがいない。
昼食はきれいに完食。
食後のお薬だけが残されていた。

玄関に目をやると、開いているではないか!!
玄関先まで出られることはしょっちゅうあるので
またそうかと思っていたら、玄関先にもおばあちゃまの姿はなく
少し先のバス通りまで出てみたが、いない。
慌てて家に戻り、クローゼットやトイレも確認し、
再度バス通りまで出てみたところ、おばあちゃま発見。
女性とにこやかに話をしておられた。
ご近所の方のようだったが名前を聞きそびれてしまった。

パジャマにカーディガン姿でもあったし「家に戻りましょう~」と言うと
素直に同意して下さり、ホッとした。
「もうこんな歳だから、こういう格好でもちっとも恥ずかしくないわ。平気よ。
 身体もどこも悪くないし、いくらでも歩けるんだから~^^
 走ろうと思えば走ることだってできるわよ~^^」
「今日は杖なしでも平気そうですものね。
 でも無理はなさいませんようにお願いします。」
「あなた、私は無理なんてしてませんよ~
 杖だって家族が用意してくれたから仕方なく使ってるだけよ。」
とニコニコしてらっしゃる。
本当にこの時の足取りは杖なしでもしっかりとされていたおばあちゃま。

お部屋に入られたのを見届け、服薬をお願いしてから退室し、
お昼の部を終了した。

夕方、お夕飯の準備も兼ねてこのお宅へ伺うと、
家の中からは大学生の孫娘と何やら言い合いをしているような声。
私が入ってからもおばあちゃまのテンションは上がりっぱなし。
私が何を言っても何をしてもお気に召さず、
私はこの日怒られっぱなしだった。

昼食後の服薬がまだで、薬と水とがそのまま残されていた。
遅くなってもいいからできる限り飲ませてほしいとご家族から言われている薬だ。
薬の横には丸いパンが置いてあった。
聞けば、「2階(娘家族のスペース)から略奪してきた」との事。^^;

服薬を促した時には返事だけはしてもらえたが、
その数分後にはキッチンで調理を始めた私の所へやってきて
「この水は何なの!?
 水でパンを食べろって言うの!?」
「お水はお薬用のお水です。お薬飲んでくださいね。
 お茶になさいますか?今からすぐに入れますね。」

で、一旦は部屋へ戻っていかれたが、またすぐにやってきて
「あのパンはどうしたの!?」
「○○さんが2階から持ってきたんじゃないんですか?」
「私はそんなことしてないわよ。
 誰が持ってきたのかしら。
 それも半分だけって、どういうこと!?失礼だわよ。」

あは~半分は食べちゃったんだ・・・^^;

「お茶(日本茶)が入りましたので持っていきますね。」
「お茶~!?私はミルクがいいのに!!
 どうして私に聞かないで用意するの!?」
さっきお茶って言った時には納得してたんだけど・・・^^;

「ごめんなさい。牛乳ですね?温めますか?」
「勿論じゃないの、あなた!!」
「できました。熱いから私が持っていきましょう。」
とレンジからカップを取り出すと
「私が持っていくからいいわ。熱いの平気だから。」
と私の手から奪い取るようにしてカップを取って
部屋まで行こうとしてこう仰った。

「あなたね、こういうものはちゃんとお盆に載せて渡すものよ!
 このまま持たせるなんて失礼ですよ!!」
「はいっ、すみません・・・」
すぐに小さなお盆を差し出したが「そんなの要りません!」と。
うぅぅぅぅ~~~^^;

気を取り直して調理を続行していると、またまたやってきて
「部屋に行ったらパンがあったんだけど、
 私の食事はたったあれだけなの!?」
「パンはおやつです。お薬飲んでくださいね。」
「お薬は普通食後に飲むんじゃないの!?
 昼用って書いてあるじゃない、もう夕方よ?
 どうして今飲むの!?いい加減ねぇ~
 食事の時に出してくれればよかったのに・・・
 そしたら私は真面目だから間違いなく飲みますよ!!」
  
って・・・毎回食事と一緒にちゃんと出してるんだけど・・・^^;
  
あと少しで準備完了のお夕飯のお膳に目をやって
「これは誰の?」
「○○さんのお夕飯です。」
「じゃあ、部屋に持っていくわ。」
「今パンを召し上がってるところだし、
 まだお夕飯には少し早い時間なので(4時半)
 もう少しあとにしませんか?」
「どうしてあなたが決めるの!?
 私は自分が食べたい時に食べるんです!!
 私は今とってもお腹が減ってるんです!!
 これ、持っていきますからねっ!!」

そう言ってお膳を持って部屋に行きながら一言。
「どうして私が持っていかなきゃならないの!?
 どうして私がこんなことしなきゃならないの!?」
「私がお持ちしますよ。」と言っても
「自分で持って行きます!!」と、プンプンだ。

あとは転んだりされないよう、黙って後ろをついて行き見守った。

これで少し落ち着いてくださるかと思ったが・・・
またまたキッチンまでやってきて
「食べようと思ったらあなた、冷めてるじゃないの!!
 温めなおしにきたわ。」と。

そして温めたおかずを持って部屋に行かれたが
今度はミルクカップを持って来られ
「これが冷めてたから温めにきたわ。」と
残り半分になった牛乳をレンジにかけたおばあちゃま。
が、次の瞬間そのミルクのことは忘れてしまわれ
食事のこともどこかへいってしまわれ・・・
  
郵便受け確認のため外へ出るなどウロウロ歩き回り
部屋に戻ったあと、また私の所へ来てこう仰った。

「お部屋に行ったら食事が置いてあったんですけど
 もう食べるんですか?
 あなた、まだ5時前よ~」と。

はふはふはふぅ~~~

「お夕飯にはまだ少し早いですものね。^^;
 もう少しあとになさいますか?
 お腹が空いてるようでしたらいつでも召し上がってください。
 私はそろそろ時間なのでこれで失礼させていただきます。
 お気をつけてお過ごしくださいね。^^」
「あらそうなの?
 どうもいろいろとありがとうございました。
 私が何もできなくてご迷惑をおかけするばかりで
 申し訳ございません。
 あなた様もお気をつけてお帰りになってくださいませね。」

元々はとっても丁寧で上品なおばあちゃまなのだ。。。

   


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タケノコ

認知症の症状も千差万別なのですね。元々が几帳面で自立されている方なら、尚受け容れがたいのでしょうね。
接し方も、難しいそうですね。うちの妻の場合は、逆に自発性がないので、ヘルパーさんは、日中の過ごし方やトイレの気を逸らすのにあれこれ苦労されているみたいです。

by タケノコ (2009-02-07 17:17) 

kuri_cat

ここまでコロコロと気分が変わる認知症の方の担当にはなった事がないですが、文章だけで心労が伝わって来ます。お疲れ様です。"○j乙土下座

でも、この方のように『自分で出来るから放っておいて』とか『一人でどうすればいいのよ』などとスイッチ(?)が切り替わる方って、凄く上品な育ちをしている方が多いように感じるのですが...気のせいですかね。
by kuri_cat (2009-02-07 18:46) 

しの

厄介なまだらボケですね。
ご本人が一番つらいでしょうし、ご家族の苦労もわかります。この先、確実に状況が悪くなる可能性を含んでいますもん。しかも先が見えない。

徘徊(冬の朝方、寝間着で裸足でサンダル履きという姿で警察に保護された爺様がとりあえず家族が来るまでと施設に連れてこられたことがあります)とか、危険行為(私の知ってる方は、家族の為に何か作ろうとしてコンロの上で薪を炊いた・風呂を沸かそうとして水を入れていないのに火をつけた‥)に気を付けて見守るしかないでしょうね。
ムカつく気持ちはよ~くわかります。(でも落ち着いて対応できてるpekoさんはすごいと思う)
私たちは帰る家がありますもの、制服脱げばそれですむ。ヘルパーという女優になりきって頑張ってください。




by しの (2009-02-09 09:30) 

Peko

※タケノコさん、訪問ヘルパーのお仕事というのは認知症に限らず本当にケースバイケースだということをいつも感じます。
そしてこの利用者さんのような場合には日によってどころか分単位で状況(気分や体調、歩行状態など)が変わることがあります。
状態がある意味安定してらっしゃる利用者さんの方が時間やサービスの流れはスムーズですね。
でもどのお宅でもいろいろと工夫をすることは大切だと実感しています。でもそのアイデアがなかなか浮かばなくて情けなくなります。
by Peko (2009-02-09 19:29) 

Peko

※kuriさん、この方は本当に育ちも良くて上品な方なんですよ、うんうん。
2年半くらいのお付き合いなんですけど、以前はお化粧もきれいになさるとてもおしゃれなおばあちゃまで、ご家族も認知症だとは信じられない様子でした。
この1年くらいで症状が進んでしまい、ご家族も「どうしたらいいんでしょう~」と悩んでおられる状況です。
安全確保を第一として入ってますが、調理などしていると、いくら耳をダンボにしていても動きを感じないことがあってヒヤッとします。
by Peko (2009-02-09 19:29) 

Peko

※しのさん、おっしゃる通り、ご本人が一番辛いと思います。
そういう言葉を直接ぶつけてこられたりもします。
何でも一人でやってこられた方なので、誰かの世話になるということ自体が許せないようです。

すでに鍋を焦がしたりというようなコンロでの事件(?^^;)は何度かあったのでご家族がロックがかかっておばあちゃまには使えないコンロに変えました。

なるべく地雷を踏まないような言い回しでしのぐしかない私ですが、そんなんでいいのかなぁ・・・って時に思ってしまうのです。
このおばあちゃまの気持ちに寄り添うっていうのはどういうことなんだろう・・・って。

事業所のスタッフに相談しても「適当に誤魔化して・・・」とか「なんとかうまいこと言って・・・」としか返ってこなくて、そういうことが聞きたいんじゃないんだけど・・・と、切なくなるんですけど、実際結果的には「なんとか適当にうまく誤魔化して」やるしかない現実に、ため息をつきたくなる私です。
そうやって見守るしかないんでしょうかね?

そう、このお宅から引き上げる時にはかなりホッとしますが、ご家族にとったらどうなんでしょうかね。
かなり裕福なお宅ですが、共働きをやめる気持ちはなさそうです。
by Peko (2009-02-09 19:34) 

愛里

(≡∇≡)>”ハジメマシテ♪ワタシは認知症対応のグループホームに勤務していますが、人との関わりって難しいですよね…。色々と情報交換などできたら嬉しいです♪
またお邪魔させていただきまーす(・▽・*)
by 愛里 (2009-02-27 14:45) 

yutakami

ご無沙汰を致しています。
お疲れ様でございます。
ヒトはだんだん年とともにもう一度子どもに戻って行く、と何かで伺ったことがありましたが、このおばあちゃんは、反抗期でしょうか、それとも泣いてもケロッとすぐ忘れるような幼児でしょうか・・・。
諸々思ってしまいました。
お気を長く・・・。
by yutakami (2009-04-20 10:29) 

Peko

※愛里さん、はじめまして。
すっかりお返事が遅くなってしまってごめんなさい。
またよろしくお願いいたします。
お仕事、気をつけて頑張ってくださいね♪
by Peko (2009-05-18 19:09) 

Peko

※yutakamiさん、こんばんは。
こちらこそご無沙汰ばかりでごめんなさい。
お年寄りは確かに子供に戻るようにも見えることがありますが
長い人生を生きてこられた分、思いははるかに複雑ではないかな~と
私には思えます。どうでしょうかね。
はい、できるだけ気を長くして努めたいと思います。
by Peko (2009-05-18 19:20) 

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